9・バイオブロックの養生
 バイオブロックの完成直後は、ブロック内の根系が十分に発達していないものが多い。特に、夏季植栽のように乾燥しやすい時期に根茎が不十分な状態で植栽を行うと、枯死してしまう可能性がある。従って、根系が十分に発達するまでの間、養生する必要がある。
 バイオブロックの養生の仕方は、バイオブロックを直接地面においてしまうと、根が地面に入ってしまい、移動できなくなるので、根切りマットの上に置く。
 根切りマットが手に入らない場合は、写真9−1のように、
新聞紙を2枚重ねたものを3つ折(A4版)して養生する。また、養生するときにブロックを近づけて置くと、ブロックの壁面が痛みやすくなるので、できるだけ離しておくことが望ましい。
写真9-1

10・現地植栽の手順

10・1植栽予定地の調査

 植栽を行う際には、環境林が完成した場合の状態を想定しながら、調査を行うことが重要である。例えば、河川近くのように土壌水分が非常に高い可能性のある場所では、それに適応可能な樹種を選定しなければならない。また、寒冷地に、温暖な場所を好む樹種を選定してしまうと、枯死してしまう可能性が高い問題がある。この他にも、表土を剥がなければならない場合や、盛土が必要な場合、補助工法が必要な場合など、文献や図面を見ただけでは得られない情報が多く、現地から得られる情報が唯一である。
 次に、住民参加を主体とした植栽の場合には、現地までの交通手段や、安全対策などの調査を行い、参加者が安心できるような配慮が重要である。

10・2植栽地の整地

 そのままの状態で植栽することができる場合は数少ない。特に、現在使われていない土地に植栽を行う場合は、荒地になっていることが多く、草本類が侵入していたり地面が凸凹になっている場合が多い。
 バイオブロックを据え付ける際に凹凸があると、地面とバイオブロックとの間に隙間ができ、根系が地面に到達しなかったり、乾燥する恐れがあるので、草本類の除去も含めた適切な整地が必要である。

10・3植栽に関する注意事項

 植栽を行う際の注意事項を以下に示す。
(A)草本侵入が見受けられる場合には、あらかじめ草本類を除去する。
(B)風害や乾燥の恐れがある場合には、補助工法の検討を行う。
(C) バイオブロックを据え付ける際に、凹凸がないようにする。
(D)凹凸が解消されない場合には、バイオブロックの周辺に1〜2cm程度土を盛土する。
(E)置き植えを原則とし、絶対に埋めてはならない。
(F)石礫の多い場所では、バイオブロック周辺を石礫で取り囲み、修景することが望ましい。

11・補助工法

11・1防風及び乾燥対策

 植栽した苗木は、生長していく過程で厳しい自然環境にさらされることが少なくない。風害もその一つで、海岸などの遮るものが何も無い個所では、必ずといっていいほど風害を受ける。 
 風害は苗木に直接影響を与えるだけでなく、地面の乾燥を引き起こす要因ともなり、場合によっては十分な防風対策をとることも必要である。
 防風対策として有効な手段の一つに、ハードルフェンスがある。(写真10−1) 
ハードルフェンスは、主にカラマツやトドマツの間伐材を利用して作られており、自然に風化するため、後々の維持管理が必要ないなどの利点がある。また、ハードルフェンスは、堆雪効果にも優れているので春先の雪解け水を有効に利用することが可能である。

写真10-1

11・2草本類抑制対策

 植栽した苗木は、草本類との競争に負けてしまうと枯死してしまう。特に、農地跡のような肥沃な土壌では、苗木に比べて草本類の生長が著しく、草本類に被圧される可能性が高い。
 このような場合、草本を抑制する対策をとる必要がある。草本類の抑制対策の一つに、マルチングがある。(写真10−2,10−3)

写真10-2 ウッドマルチング
 マルチングとは、植栽したバイオブロックの回りの地面を、日光を遮断するもので覆い、草本類の成長を抑制しようとするものである。
 マルチングの種類としては、ウッドチップ、古新聞、砕石等を利用することが多い。特に、間伐材や河川工事などで伐採された木を使ったウッドチップや、使わなくなった古新聞を使ったマルチングは、資源の有効利用の意味合いでも有効な手段といえる。

写真10-3 古紙マルチング