8・挿し穂及び種子の採取

8・1挿し穂の採取

バイオブロックに使用する挿し穂の採取方法を以下に示す。

(1)挿し穂可能な樹種(ヤナギ等)から枝を 採取する (2)余分な枝や葉を取り除く
(3)挿し穂の長さを約17cmに整える

8・2挿し穂採取の注意事項

(A)バイオブロックに使用するヤナギ挿し穂は、冬季間(落葉期)に採取したものを使い、夏季間(生長期)に採取したものは使用してはならない。
(B)夏季間にヤナギ挿し穂を使用する場合には、冬季間に採取したものを冷蔵保管して使用する。
(C)使用するヤナギ挿し穂は、細すぎたり太すぎたりするものは取扱が難しいため、できるだけ避けることが望ましい。使用するヤナギ挿し穂の太さは、1〜2cm程度のものが扱いやすい。
(D)使用するヤナギ挿し穂の長さは、長すぎると挿し穂の乾燥や不安定な状態を招く恐れがあるので、17cm程度(リサイクルポットの高さ+5cm)のものを使用する。

8・3種子の採取

 種子の採取は、採取する時期が樹木によって異なるため、種子の結実する時期(表−1)を知っておく必要がある。また、種子は毎年結実するとは限らない。
 樹木の中には種子を播種しても、数年後に発芽するものもあるので、樹種の特性を把握しておく必要がある。

表−1 札幌周辺の種子の採取期
発芽率 樹種 採取期 種子の採取方法 樹種の
特徴
オニグルミ 9月中旬〜10月中旬 落下直後の種を拾い集める 持続性
カシワ 9月中旬〜10月中旬 落下直後の種を拾い集める 持続性
クリ 9月中旬〜10月中旬 落下直後の種を拾い集める 持続性
コナラ 9月中旬〜10月中旬 落下直後の種を拾い集める 持続性
トチノキ 9月中旬〜10月中旬 落下直後の種を拾い集める 持続性
ミズナラ 9月中旬〜10月中旬 落下直後の種を拾い集める 持続性
キタコブシ 9月中旬〜10月中旬 開き始めた袋果を採取し影干し 持続性
エゾヤマザクラ 7月上旬〜7月下旬 果肉を除去 持続性
ブナ 9月上旬〜10月上旬 果実が開く前に採取して影干し 持続性
ホオノキ 9月上旬〜9月下旬 開き始めた袋果を採取し影干し 持続性
イチイ 9月中旬〜10月 中旬 果肉を除去 持続性
ヤチダモ 9月上旬〜10月上旬 早取すると翌年発芽 持続性
シナノキ 9月下旬〜10月下旬 果実を腐らせ種子を取り出す 持続性
イタヤカエデ 9月上旬〜10月上旬 茶褐色の種を採取する 持続性
アキグミ 9月中旬〜10月中旬 果肉を除去 低木
コリンゴ 9月中旬〜10月中旬 果肉を除去 低木
キハダ 9月下旬〜10月下旬 果肉を除去 持続性
サワシバ 9月中旬〜10月中旬 早取すると発芽しない 持続性
オヒョウ 6月上旬〜6月下旬 褐色の翼果を採取 持続性
ハルニレ 6月上旬〜6月下旬 褐色の翼果を採取 持続性
ナナカマド 9月中旬〜10月中旬 果肉を除去 持続性
ケヤマハンノキ 9月中旬〜10月中旬 褐色の球果を採取し影干し 先駆性
ハンノキ 9月中旬〜10月中旬 褐色の球果を採取し影干し 先駆性
カツラ 10月上旬〜12月下旬 黒紫色の果実を採取し影干し 持続性
シラカンバ 8月中旬〜9月中旬 果穂ごと採取し影干し 先駆性
ダケカンバ 8月中旬〜9月中旬 果穂ごと採取し影干し 先駆性
(注釈)上記はあくまでも目安であり、実際には現地毎の調査による。
(参考文献)岡村俊邦(1998):住民参加による自然林再生法-生態学的混播法の理論と実践-.財)石狩川振興財団