3・バイオブロックの歴史
1994年 : 苗木 と土とポットを一体化した間伐材を利用したモリジンポットが完成し、バイオブロックの基本概念が生まれる。
同年、市販の建設用軽量ブロックを利用したバイオブロックが完成する。これにより、タチヤナギやエゾミソハギ等の水中緑化が可能になる。
1997年 : カミネッコンが誕生する。これにより、カミネッコンを型枠とした軽量風化性コンクリートブロックによるバイオブロックが施工される。
1998年 : 陸上等の浮力の働かない現地条件に合わせるために、カミネッコンの型枠に現地の砂や土を詰め、より風化しやすいバイオブロックが施工される。そして、より使いやすいバイオブロックを作るために、底板のベースパットと、乾燥防止と草本進入防止の為のマルチパットが加わる。
同時に古新聞等のリサイクルと汎用性高めるため、古紙を利用した紙粘土を側壁に充填する方式もこの年から採用されている。
2001年 : バイオブロック普及連絡協議会が発足する。
バイオブロック工法指導者資格認定制度を導入する。

4・バイオブロック工法を用いた植栽方法

バイオブロック工法による植栽の一連の流れを図−1に示す。

図−1バイオブロック工法の流れ
カミネッコンを用意
種子及び挿し穂の採取
リサイクルポット作成
苗木の育苗

バイオブロックの作成
バイオブロックの養苗
現地植栽

 図−1に示すように、バイオブロック工法による作業工程は極めて単純であり、一般的には高度な専門性や熟練度を必要とせず、また、適時にバイオブロックを作成し養苗して置くことにより、時期や場所を問わない植栽が可能になる。

5・バイオブロック工法で使用する樹種

 バイオブロック工法では、人為的に環境林を造成することを目的としているため、自然の状態で森林の形成過程を再現するところから始まる。従って使用する樹種も、その場所に適した自然な状態で存在する樹種(在来種)を使用することが一般的である。また、単一樹種だけでなく、多種多様な樹種を使用することが基本となる。
 バイオブロック工法で使用する樹種には、大きく分けて先駆性樹種と持続性樹種の2種類がある。
 先駆性樹種とは、寿命は短いが、生長が早く、環境適応能力が高いという特徴がある。火山噴火後や河川洪水後の裸地などに真っ先に定着するのが、この種の樹種である。先駆性樹種の代表的な樹種としては、ヤナギ類やハンノキ類が挙げられる。特にヤナギ類は挿し木による植栽(成木から枝をとり、土に挿す植栽)が可能であり、バイオブロック工法では環境林造成に欠かせない有力な樹種の一つに挙げられる。
 持続性樹種とは、生長は遅いが寿命が長く、巨木となって何百年もその場所に環境林として存在することが可能な樹種である。しかし、この種の樹種は先駆性樹種を肥やしにして生長していくものが多いため、この種の樹種だけを厳しい自然環境の中に植えても、定着し難い問題がある。持続性樹種の代表的な樹種としては、ミズナラ・カシワやイタヤカエデなどが挙げられる。
 以上述べたように、バイオブロック工法で環境林を造成する場合、まず先駆性樹種を主体に前生林を形成させ、徐々に持続性樹種を主体とした基本林へと樹種交代させる方法をとることが重要になってくる。そのためには、先駆性樹種と持続性樹種をバランス良く植栽することが必要となってくる。