1・はじめに

 近年、地球環境問題を背景に、人間の生産活動に 起因したCO2の発生などによる環境悪化を緩和する樹木の役割を期待した、 いわゆる環境林造成の試みが散見されるようになってきた。しかし、従来 の採算効率を追求する林業政策もあり、行政においては、その取り組みは遅々としている。 
 むしろ国民の環境改善に向けた意識の高まりの中で、NGOやNPOによって実施され、更にはISO14001にみられるように、企業ステータスとしての環境林造成が顕著になりつつある。
 環境林の造成を普遍化するためには、住民自らが種拾い、苗木の育成・管理、苗木の定植までの一連の作業を行い得る必要があるが、このような状況下、1997年に森林空間研究所を主宰する東三郎氏が考案し た「カミネッコン」という再生紙ダンボール型枠を使ったバイオブロック工法は、この実現に向けて的を得たものである。
 そして、このバイオブロック工法を普及すると同時に適正を保持するため、この度「バイオブロック工法普及連絡協議会」を発足し、バイオブロック工法の指導者を養成する機関の認定登録と指導者の資格認定制度を導入することとなった。
 この基準書は、バイオブロック工法初級指導者が、今後の普及活動の指針にして戴くために作成したものである。
 しかし、この基準書はバイオブロック工法の初級指導者として、 最低限知っておかなければならない事項を掲載しているものであって、 初級指導者は、あくまでも現地から得られる情報を最優先に、 適地適正を旨として臨機応変な対応が必要であることをあえて付け加えておきたい。

2・バイオブロック工法の定義

2・1 カミネッコンとリサイクルポット

カミネッコンとは、再生紙ダンボール
から作られた紙型枠のことである
紙型枠を組立てると六角形型の
植栽用紙ポットになる
尚、以下に示す項目を満たしているものはリサイクルポットと呼ぶ。
(1) 植栽用紙ポットを構成される材料が、全て風化性材料で構成されていること。
(2) 植栽用紙ポットは完全リサイクル材料で構成されていること。

2・2バイオブロック

 リサイクルポット・土・苗木の3点が一体化されているものをバイオブロックと呼ぶ。

2・3バイオブロック工法

 バイオブロック工法とは、バイオブロックを使い、置き植え方式(植え穴を必要としない植栽方法)で植栽を行う工法である。

バイオブロック工法には以下のような特徴がある

(1) リサイクルポット・土・苗木の3点が一体化されているので、根系を傷めることなく植栽することが可能である。
(2) 植え穴を必要としないので、植え穴を掘るのが困難な硬い地盤や凍結土壌でも植栽可能である。
(3) 通年施工が可能である。
(4) バイオブロックの作成から現地植栽まで、極めて簡便性が高く、高度の専門性に拘らないため、より多くの住民参加が期待できる。